2021年3月15日「不動産の法人化Ⅲ」

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法人化のデメリットについて解説して行きます。
所得税と法人税の税率差を利用して節税する法人化ですが、デメリットもあります。
デメリットは大きく2つあり、1つ目は初期コストがそれなりにかかるという点です。

具体的には移転先の法人に不動産取得税及び登録免許税が課税されます。金額は移転する固定資産税課税標準額の6%前後です。その他、不動産の鑑定評価をする際に必要な鑑定料、移転登記を行う際に必要な司法書士手数料、シミュレーションや税務リスクの検証を行う際に必要な税理士手数料なども発生します。
また、譲渡する個人側では、移転に伴いキャピタルゲインが生じる場合には譲渡所得税がキャピタルゲインの約20%相当額発生します。さらに、個人が消費税の課税事業者であれば、譲渡に伴い消費税を支払わなければなりません。ただし、法人側も課税事業者であれば、住居系の不動産でない場合に限り仕入れ税額控除が採れますので、相当額の還付を受けることができます。
このようにそれなりの移転コストが発生します。これらの移転コストは初年度しか発生しないものの、節税前に発生するため、それなりに蓄えが必要なのと、これら初期コストを何年の節税効果で回収できるのかを予めシミュレーションしておくことが肝心です。これまでの経験上、概ね10年以内の節税効果で回収できれば、投資対象としては許容できるといえます。もちろん、回収年限が短ければ短いほど、投資対象としては優秀です。

2つ目は、相続税の逆転作用です。個人側の相続税についての視点ですが、不動産として保有していた財産が法人化により現金の増加(借入がある場合には、借入の減少)となりますので、不動産として保有し続ける場合と比べて相続税評価は上がることになります。所得税は下がるものの相続税が一時的に増加する訳です。ただし、法人化により不動産を保有しなくなることでそれ以降の家賃は個人に入って来なくなりますから、家賃という財産の蓄積は無くなりますので、どこかのタイミングで不動産を保有し続けた場合と比較して再逆転することになります。この再逆転のタイミングがいつか?というのが大事なポイントです。仮に20年先であればそれまでは相続は発生させられないので、生きていなければ損ということになります。このタイミングの見極めが非常に重要です。言葉を選ばずに言うと、高齢の方にはこのスキームはお勧めし難いことになります。

これらの2つのデメリットを受け入れてでも尚、所得税の圧縮効果が高いという判断になれば、法人化を実行した方が有利となり、晴れて法人化を実行することになります。 もちろん理屈だけではなく、しっかりとした数字上の裏付けが必要となりますので、税理士によるシミュレーションは必ず実施した方が良いと思います。
以上、3回に渡って不動産の法人化の説明をしてきましたが、個人の不動産投資家には非常に有効な節税スキームでありますので、所得税の確定申告が終わった今、所得税が高いな、と感じておられる方は、ぜひご検討いただくと良いと思います。

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