2021年2月22日「不動産の法人化について(パートⅠ)」

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「不動産の法人化」というコンサル手法があります。文字通り、「(賃貸)不動産を株式会社化(法人化)させる」というものです。具体的に言うと、個人で持っている賃貸不動産を新たに設立した株式会社に売却をして、その物件の所有者を個人から法人に変えてしまいます。

これは、個人と法人に係る税金の種類が異なることを利用した節税手法で、10年ほど前から人気が出てきたものです。個人に課される税金は所得税で税率は住民税を合わせて(約15%〜約56%)、法人に課される税金は法人税で住民税を合わせて一律30%前後、不動産を沢山持っている方は所得も必然的に高いため、所得税は最高税率の約56%に至っている方が多いですから、その時の最大節税幅は約26%(56%–30%=26%)になります。毎年所得税を100万円払っている人は、不動産の所有者を変えるだけで26万円も毎年税金が安くなる訳です。単純計算で5年間で130万円、10年間で260万円も節税できます。

一昔前は賃貸管理を新設法人にやらせて、賃貸収入の5%〜10%ほどを法人に移転させると言う管理会社型のものが主流だったのですが、最近ではこの完全所有型のものに取って変わられる様になりました。理由は管理会社型だと5〜10%しか賃貸収入を法人に移転できないのに対して、完全所有型だと100%移転することができる(ただし、土地の使用料として個人に支払う地代がいくらか発生しますが微々たるも)ため、節税効果が大きいからです。 ただし、デメリットもあります。個人から法人に移転する際は不動産取得税や登録免許税が移転を受ける法人に課されます。
また、個人でも移転不動産にキャピタルゲイン(買った時の値段よりも売却時の値段が高い場合のその差)があれば、その差に対して譲渡所得税が課税されます。これ以外にも不動産鑑定士、司法書士、税理士に支払う手数料、消費税の課税事業者であれば、移転不動産に対する消費税も負担しなければなりません。購入資金がなければ銀行から借りねばなりませんので、銀行に支払う金利も発生します。これら諸々のイニシャルコストがかかると言う点です。

それ以外にも、法人の管理コストとして税理士に支払う記帳代行や税務申告の手数料や、利益が生じていなくとも支払わなければならない住民税均等割など、法人を設立しただけで発生するランニングコストが追加されます。
これらのデメリットを補うだけのメリットがなければ、この不動産の法人化はやらない方がいいです。ただし、やりようによってはメリットを大きくすることも可能ですので、それは私たち税金コンサルの税理士の仕事です。細かなテクニックは追々ブログ内で説明をしていきたいと思います。
今日は、この不動産の法人化の概要を主に説明しましたので、大枠をご理解いただくだけで十分です。

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