「出る杭をのばす」

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「出る杭をのばす」 

私の前職の税理士法人はこんな社風でした。入社4、5年目の若手が早々に管理職になったり、入社10年前後で地方事務所や海外事務所を開設して30代で大黒柱として活躍したり、とにかくやる気のある奴にはチャレンジをさせる、だけども失敗したら、反省は促せども決して潰しはせず、再起のチャンスを与える。

年功序列が根強く残る日本企業にあっては「出る杭は打たれる」というのは通例ですが、「出る杭をのばす」という文化を持つ会社は少ないのではないでしょうか。

この社風は創業者である故山田淳一郎氏が常々事務所メンバーに言っていたことが自然と社風に落とし込まれたもので、これ以外にも事務所メンバーの意思統一と上下左右のない風通しの良い雰囲気を形成するために、企業理念の唱和や社員旅行、運動会、忘年会、部活動など今考えると昭和チックなイベントを故人は好まれて社内風土形成の礎とされて来ました。
私はその組織の水を13年間飲んでいたので、これが普通か、なんて思っていましたが、退職して(現時点では退職はしていませんが)外からこの組織を見た時に、まず普通じゃないと改めて思いました。
まぁ、イマドキ昭和チックなイベントが多いということもそうなんですが、一般的には閉鎖的な印象のある会計事務所を、若手を大事に育て、夢を語り熱量を帯させ正しいと思う道を拓かせる、そんな若手を伸ばし社会に送り出す養成塾のような会計事務所を作り上げて行った故山田淳一郎氏はとんでもない組織を一代で作り上げたんだな、と改めて感じました。

現在では事務所メンバーも800名に迫り、良くも悪くも新しい考え方をもった若者がどんどん入社して来ていて、山田会長を欠いたこの組織が従来の考え方をどこまで浸透し続けられるかが今後の課題だと思いますが、この社風、企業文化は稀有なものだと思うし、これからも大事にしていって欲しいなと感じました。

昨夜、故山田会長の夢を見たので、翌朝忘れないうちに文章にしました。