「税理士のタイプと選択のポイント」

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税理士の種類は大きく3つに分かれると思います。
① 町医者型税理士
② 外科医型税理士
③ セカンドオピニオン型(社外C F O型)税理士

①は街の信頼できるシティドクターという意味での税理士です。具体的には記帳代行から決算、申告及び確定申告を主たるサービスとする税理士で、会計事務所は税理士が1人居て、見習いの事務員が数名いる様な会計事務所をイメージすると分かり易いと思います。このタイプの税理士は付き合いが長くなる傾向があります。
もちろん、知識が豊富で安心できる方を見つけるに越した事はないですが、傾向として専門特化した提案型の税理士ではないので、相続対策や資産運用、事業承継、大規模な節税に関するアドバイスは得意ではない方が多い様に思います。

②は少し大きな街にある急性期病院にいるスーパードクターの様な税理士です。このタイプの税理士は記帳代行、決算、確定申告は行わず、相続対策や相続申告、事業承継対策や組織再編、M&Aなどのスポット業務を生業としています。
事務所は若い税理士や会計士が複数集まって構成される税理士法人をイメージしていただくと分かり易いと思います。このタイプの税理士は、課題解決型の役務提供のため、課題を解決すればそれ以上の関わり合いはありませんので、大体半年から1年くらいのお付き合いになることが多いです。
相続発生や経営者の世代交代、合併や分割など、イベントが発生あるいは発生する予定がある方には頼れる税理士ですが、サラリーマンやスタートアップの経営者、課題のない資産家には、あまり関わり合いがないタイプの税理士かもしれせん。

③は全国に点在している税務のエキスパートの様な税理士です。このタイプの税理士は、税理士とプライベートバンカーの合いの子の様なタイプで、経営コンサルに近いイメージです。
事務所は構ないか自宅を拠点としていて、多くの場合一人で動かれている方が多い様に思います。②と同じく、記帳代行、決算、確定申告は行いません。いつも社長や資産家のそばに居て、適切な税務アドバイスから資産運用、不動産活用、事業展開、家族問題など多岐に渡って相談に乗るスーパーバイザーの様なサービスを行います。社外C F Oと呼んだりすることもあります。
もちろん、相続が発生すれば相続申告も行いますし、経営者の世代交代となれば事業承継対策もお手伝いします。②との違いは、イベントのない平時から相談に乗って貰うことができる点、税務に留まらず幅広い相談ができる点にあります。
資産家の子、2代目・3代目の若手経営者の相談相手(番頭)としての活用がよくハマる傾向があります。

世の中の税理士は上記の3タイプのいずれかに当てはまると思います。また、どのタイプの税理士もそれぞれ特徴がありますので、うまく使い分ける必要があります。
例えば、スタートアップの若手経営者であれば、事業承継や多角化展開のイベントはないでしょうし、毎日相談したいこともないでしょうから、①のホームドクターがいれば十分です。
相続や経営者交代のイベントが発生した際に、古い付き合いのホームドクターが適切な提案をしてくれないのであれば、②のスーパードクターに依頼すればいいのです。

ここでのポイントは。②の税理士と①の税理士はそれぞれ役割が違うので、②のスーパードクターを雇っても、①のホームドクターはそのままにしておく必要があります。②に①は兼ねられませんので、①は①として依頼をしておくべきです。
また、相続後や事業承継後は、若い後継者らが資産や事業を切り盛りしていくため、右も左もわからないでしょう。そんな時には常にそばにいて、税金だけで無く色々なことを相談できるエキスパートを置いておくべきだと思います。

繰り返しになりますが、税理士選択のポイントは、税理士は決して1人いれば十分ではないということです。医者の様に、必要な時に必要に応じて選択して、依頼すべきなのです。
①の税理士に専門的な提案はできませんし、②の税理士が常にそばにいてアドバイスをくれる訳でもありません。③の税理士は常にそばに居ても経営資源が少ないため張り付いて記帳代行や決算などできません。

できないことをできない専門家に依頼しても、依頼者も専門家も苦しいだけですので、依頼者は色々なタイプの税理士が世の中には居て、適切な税理士を選択して依頼するものだ、と意識を持っていただけると皆ハッピーで良いなと思います。