「連れ子に相続権はあるの?」

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都銀の支店長から質問があったので、ご紹介します。
「後妻の連れ子に相続権はあるのか?」
気になるテーマです。
答えは、「なし」です。
民法上の相続人(法定相続人)になれるのは、配偶者と血族のみです。 配偶者相続人は必ず相続人となり、重婚がない日本ではその数は1人ないしは不在(0人)となりますが、血族相続人はなれる順位が決まっています。同じ順位の人が複数いる場合は、全員が相続人となります。また、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。

●配偶者…必ず相続人になる
●血族……優先順位が高い人が相続人になる
優先順位   血族の種類
第1順位 子および代襲相続人
第2順位 両親などの直系尊属
第3順位 兄弟姉妹および代襲相続人

ここでいう、血族とは2種類あり「自然血族」と「法定血族」があります。 「自然血族」とは実父母、実祖父母、実の兄弟、実子、実孫などの、出生により血のつながり(血縁関係)のある者をいいます。
一方で、「法定血族」とは、養父母や養子の関係です。養子縁組により法的な親子関係が発生します。
後妻の連れ子は配偶者相続人にはなれませんので、血族相続人の枠にはめることになりますが、自然血族でもなければ、法定血族でもありません。故に血族相続人になれず、相続権はないのです。
仮に相続権を持たせようとすれば、相談者(資産家のご当主)の養子とするか、連れ子に財産を残す遺言書を書くことで「遺贈」という手段で残す方法の2種類しかありません。

ちなみに、よく「連れ子を認知する」という表現がありますが、認知というのは、婚姻関係にない男女の間から生まれた子はお産をする母親は我が子と認識できますが、父親は本当に自分の子供であるという確たる証拠を持っていません。
そこで、父親による届出などによって、父子の血縁関係を正式に証明するための行為を行うことがあります。これが「認知」です。 ですから、「連れ子を認知する」というのは多くの場合、誤った使い方なので、この機会に覚えておくと良いと思います。

誰にどの財産を渡すかは、先祖から代々受け継いだ財産を守る使命を持つ資産家にとっては非常に大きな問題となります。正しい法律知識を持って、生前に自身の相続のことを十分に考えておくことが大事です