2021年5月14日「資産管理会社の取締役とは?」

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お客様から資産管理会社を設立する際の役員等選定の注意点についてご質問をいただきましたので、整理しておきます。
資産管理会社を設立する際に良く選ばれるのは、株式会社か合同会社です。両者の違いは過去のブログをご参照ください。(2021年5月10日「資産管理会社の組織形態について」)

今回は株式会社の組織について解説していきます。
資産管理会社として選ばれる株式会社は、建設業や製造業などの事業会社と違って、不動産賃貸業、持ち株会社、有価証券等の投資会社などの比較的動きの少ない事業形態が多いかと思います。それゆえ、組織のガバナンスも最低限に設定し、機動的にすることが多いです。株式会社の取締役は会社の業務を執行する者ですが(会社法348)、会社法では取締役を1名から選任することができます。(会社法326)
取締役会設置会社は取締役を3名以上選任する必要がありますが、ボードメンバーが増えると会社の意思決定も複雑になり、スムースに舵取りが出来なくなることがあるため、基本的には取締役1名の取締役会非設置会社にするケースが多いです。

また、取締役のお目付役として監査役を置くことができますが(会社法326②、381)、組織のスリム化と、資産管理会社は基本的に同族会社が多いこともあり(社長=株主のワンマン企業)、監査役を置かないケースが多いです。したがって、会社役員としては取締役のみ選任し、監査役はいない、取締役会も置かないシンプルな組織が多いです。 この場合に、取締役として選任するメンバーですが、主人公である社長本人を中心として、その家族を取締役に就任させるケースが多いです。具体的には、配偶者や子、親、兄弟、叔父叔母、親友などです。

家族を取締役に就任させることのメリットとして、資産管理会社から役員報酬として金品を受領させることができます。役員報酬として受領した金品は家族の生活費の足しになったり、家族の蓄えとして貯蓄に回ることになります。一方で、資産管理会社側は役員報酬として支給した金額が法人の経費となり、課税利益(所得と言います)を引き下げることで、法人税の節税効果があります。ただし、役員報酬を支給するためには、支給をする家族を取締役に就任しておく必要があります。

デメリットとしては、役員報酬として金品の支給を受けたことで、その家族の所得税負担が増加することが挙げられますが、役員報酬としての実入りも増えているため、増えた分だけ税金を払うのは当たり前と言えば当たり前です。 それ以外には、取締役に就任させた家族が本業(サラリーマンとしての立場)を持っていた場合、取締役に就任することで、本業のサラリーマンと資産管理会社の取締役としての二重身分となり、兼業状態になります。それ自体は法律違反ではないのですが、本業との就業規則上、兼業が禁止されている場合は、本業の会社との雇用契約違反となりますので、問題が生じる場合があります。場合によっては、資産管理会社の取締役を辞めなければならない事態になるケースもありますので、兼業状態に当たる場合には、本業の会社の人事や総務に予め問い合わせをしておくと良いでしょう。
ですが、両親の高齢化等の理由により、家業の取締役に就任する必要に迫られるサラリーマン自体は、一般的に良く有るケースだと思いますので、本業の会社もその辺りは心得たものだと思います。
以上、株式会社の組織のうち、今回は取締役を整理してみました。 次回は株主について整理してみたいと思います。