「租税教室」

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私が所属する税理士会では租税教室というものをやっています。
小学校や中学校に訪問し、社会科の授業の枠内で「租税」について学生に学んで貰います。対象は小学校6年生以上なので、ある程度社会の成り立ちも理解できている学生が対象なのですが、普段馴染みの薄い税金の話なので、消費税など取っ付き易いテーマを冒頭に持ってき、てできるだけ解り易く解説することが求められます。
講義の内容はあらかじめ決まっており、税制の話というよりは、税とは何か?という概念論が中心になります。警察や消防、学校や公衆衛生など、さまざまな公的サービスの財源として税金が使われていることから、税収は日本の維持に必要な歳入の半分にしか満たず、残りは国債発行などの借金で賄っていることなど、厳しい現実も勉強して貰います。

そして話の最後は、日本を支えるために沢山働いて税金を納めよう!という締めになる訳です。後半が少し暗い話になるので、極力笑顔で希望も持って話をするのですが、正直な気持ち、これからの社会を担う学生達は希望を持ち続けるのが大変だなと思ったりします。ただ、この租税教室、若いうちから税について、日本についてを考える良い機会だとも思います。
日本ではこれまでその様な勉強を義務教育の中ではやって来ませんでした。お金は卑しいもの、という観念が私たち大人達にあるからだと思います。
一方、欧米ではお金の勉強は当たり前に日常学習に織り込まれています。お金は生活していく上で最も大切なテーマの一つだと思いますから、教育の一環に組み込まれるのは当然といえば当然です。日本も少しずつですが、お金にまつわる税金、投資、貯蓄、消費の学習を取り入れ始めており、それはとても良い傾向だと思います。

ところで、先日、地元の小学校で租税教室をしてきました。他の講師にお願いして姪がいるクラスを担当させて貰い、講師をやってきたのですが、「きっと喜んでくれるだろう」という叔父の淡い期待に反して、姪は90分間一度も私と目を合わせてくれませんでした。笑
でも、叔父はそれでもいいんです。姪をはじめ当日聴いてくれた学生達は、税とは何か、日本が今どんな状況に置かれているのか、私たちは何をしなければならないのかをしっかり学んでくれたと信じています。 これからも職業税理士として、テクニックとしての税だけではなく、税の本質やお金の大切さを伝えるプロで居たいと思います。